司法試験目指してわっほいするブログ

主に書評と問題に対する感想をば

「逮捕の現場」(220条1項2号)に関する私見

お久しぶりです。

適当に刑事訴訟法の論点について書いてみます。

「逮捕の現場」として問題となるケースとしては、
①管理権外の捜索の可否
②第三者に対する捜索の可否
③移動させた上での捜索
くらいでしょうか。

意外と混乱が多い分野なので
制度趣旨から論理を積み立てていくのが大事だと思います。

220条の趣旨については、相当説、緊急処分説、修正された緊急処分説等が有名ですよね。

相当説については
ⅰ)逮捕の現場には証拠存在の蓋然性が類型的に高く、
⇒裁判所による令状審査を経る必要が乏しいこと。

緊急処分説については
ⅰ)を前提としつつ
ⅱ)被逮捕者による証拠隠滅の危険性があること

修正された緊急処分説については
ⅰ)を前提としつつ
ⅲ)被逮捕者だけでなく第三者による証拠隠滅の可能性まで範囲を拡大しています。

したがって、それぞれの趣旨の保護範囲としては

相当説≧修正された緊急処分説>緊急処分説

となります。

ここまでは制度趣旨であり、そこから導かれる規範は、

相当説
=逮捕の着手から完了までの各行為が行われた場所
 但し、同一の管理権が及ぶ範囲内という限界

緊急処分説
=相当説を前提として
 逮捕の際に被逮捕者が証拠を隠滅することが可能な範囲
 すなわち、身体及び直接の支配下(手が届く範囲)に限定(相当説を制限する)

修正された緊急処分説
=相当説を前提として
 被逮捕者や第三者による証拠隠滅の具体的危険性が存在する合理的な疑いが存在すれば
危険性に応じて場所的範囲が拡張される

書きやすさで言えば相当説一択ですよね。

以上のことから、①管理権外の捜索については、相当説ですら認められません(当然、相当説を前提とする緊急処分説等も認められません)

②第三者に対する捜索の可否については
「令状に基づく捜索の範囲が第三者の及ぶか」とパラレルに考えることができます。

まず、「逮捕の現場」に第三者に対する制限は存在しません。
そこで、前提として「逮捕の現場」すなわち逮捕された場所に対する管理権が及ぶ範囲内については捜索することができます。
捜索することができるのであれば、222条1項が準用する102条の2項が及ぶので「押収すべき物の存在を認めるに足りる状況」がある場合に限り、捜索することができます。

③移動させた上で捜索した場合
ここはロジックが大事だと思います。
「逮捕の現場」を拡張するのは無令状捜索の範囲を拡大することとなるので強制処分法定主義(197Ⅰ但書)との関係で問題となるので注意が必要です。

まず、「逮捕の現場」とは証拠存在の蓋然性が類型的に高いことが根拠です。
そうであるならば、移動させた違う場所には証拠存在の蓋然性は認められないので根拠が妥当せず、「逮捕の現場」には当たりません。
あくまで捜索することが可能なのは「逮捕の現場」に限定されます。
したがって、逮捕に伴う無令状「捜索」に付随する処分として認められるかを検討していきます。
捜索は強制の処分なのでその実効性を担保するために必要最小限度の有形力の行使は認められます(捜索をする上で裁判所は付随してなされる処分についても「正当な理由」審査をしていると介されるからです。)
その確認規定が222条1項が準用する111条の「必要な処分」です。
そうであるならば、捜索をするに適していない場所から捜索するに適した場所まで移動させる行為は「必要な処分」として可能であり、その移動させた場所で行う捜索も「逮捕の現場」(における捜索)と同視できるのです。

以上簡単にですが現状の私の理解を書かせていただきました。勉強次第適宜更新していきます。