司法試験目指してわっほいするブログ

主に書評と問題に対する感想をば

おとり捜査

バババッとおとり捜査について書いていきます。

例のごとく文献等参照しないで書くので内容の信頼性は担保されていません。

 

まず、おとり捜査とは、捜査機関が対象者等に詐術等の働きかけをし、その結果対象者が犯罪を実行し、そのタイミングで検挙する捜査手法をいいます。

 

この捜査手法が「強制の処分」(197Ⅰ但)にあたれば、「特別の定」がない限り違法となります。

前回でも書きましたが、「強制の処分」の意義については、判例の規範(意思を制圧し云々)をただ書くのではなく、なぜそのような定義となるのかを説明するようにルールブックに示されています(出題趣旨採点実感)。

もっとも、私の場合、判例の規範ではなく、いわゆる重要権利制約説の立場で起案するので、「強制の処分」の文言解釈をするための目的論的解釈をすることで定義を導きます。

 

法が「特別の定」を要求した趣旨は、①捜査権限の濫用防止、②国民的授権にあります。そこで、「強制の処分」とは、対象者の意思に反して、その重要な権利利益を実質的に制約する処分をいいます。

ここでおとり捜査が「強制の処分」に該当するか否かを検討するのですが、ここではあくまでおとり捜査一般の強制処分該当性を検討するので、個別具体的な事案に着目するのではなく、類型的におとり捜査の強制処分性を判断します。

 

おとり捜査は上記で記したように、捜査機関がなんらかの働きかけをすることで犯罪実行をさせるようにすることを言います。

ここで、その働きかけの対象はあくまで犯罪実行に至る「動機」部分であり、民法とパラレルに考えれば、効果意思にはなんら働きかけをしているわけではありませんので、「意思決定」の自由を制約するわけではない、と論証することができます。刑法的には教唆とまではいえない、とかになるんでしょうかね。

 

そうであるならば、重要な権利利益に対する実質的な制約は観念できないので、「強制の処分」とはいえないことになります。

 

もっとも、任意処分の限界として違法の評価を受ける可能性は未だ残されているので次はこの点につき検討していきます。

 

任意処分であろうがなんらかの法益侵害はなされる以上、「必要」(197Ⅰ本文)な限度でのみ適法となります。

そして、この「必要」とは、広義の必要性を意味し、捜査の必要性が非侵害法益の程度を上回れば相当として適法だと評価できます。

 

しかし、先ほど書きましたように、おとり捜査はなんら意思決定の自由を制約していない以上、非侵害法益が観念できません。そうであるならば比例原則に付することができなくなり、すべてのおとり捜査は適法となってしまいます。

そこで、おとり捜査の特質から、なんらかの法益のようなものを観念し、比例原則に持っていく必要があります。

 

おとり捜査は本来犯罪を実行する意思のない者に働きかけをすることが挙げられますが、これは本来犯罪を取り締まるはずの捜査機関が逆に犯罪を創出しているのではないか、という問題点が考えられます。そうすると、おとり捜査をすることで「捜査の公正さ」や「廉潔性」が害されるのではないか、と考えます。

 

したがって、おとり捜査を行う必要性と、捜査の公正さとを比較衡量することで相当性判断を行います。

 

必要性については、なぜおとり捜査を選択しなければならないのか、をネチっこく論証してください。

公正性については、従前の「機会提供型」や「犯意誘発型」の議論を出していけばいいと思います。

最後にしっかり必要性が公正性を上回ることを論証してあげてください。

 

こんな感じですかね。

 

 

以上