司法試験目指してわっほいするブログ

主に書評と問題に対する感想をば

実況論文講義(刑事訴訟法)

 

AGAROOT の工藤北斗講師が発刊した

実況論文講義(法学書院)のレビューをします。

 

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既刊問題集の中で最も高速周回に適した問題集

 

「本書に掲載されている問題は、司法試験の問題には及びませんし、予備試験や法科大学院入試で出題されている問題よりも簡単なもの、典型論点の繋ぎ合わせだけで処理できる、いわゆる典型問題が多くなっています」

 

本作のはしがきにおいて工藤先生はこう仰られています。

もっとも、「典型論点を含む典型問題については、問題文を見た瞬間に解答が思い浮かぶレベルまで訓練を積んでください」

とも仰っていることから、典型論点がいかに受験生が出来ないか、差がつくポイントはそこなのだと教えてくれています。

 

最も高速周回に適した問題集がなぜ良いのか、それは、普段のインプットにおいて忘却曲線と単純接触効果を利用することが最も効率化可能な勉強方法であり、それには高速回転が必要不可欠だからです。

 

(この問題集は基本的に1日で回すことを想定されて作られています。)

 

業界初(?)の合格者の答案構成例

 

本書の構成は,

①設問

②解説

③答案構成例(工藤先生作成)

④答案例(工藤先生作成)

⑤答案構成例(予備合格者作成)

⑥答案例(予備合格者作成)

と,なっています。

 

司法試験対策問題集としては,予備合格者の答案構成例を載せたものはこれが初ではないでしょうか。現実的な構成や問題文のどこに着目していたかなどを考える上で非常に参考になります。

 

全ての答案例が工藤北斗先生書き下ろし

 

他の予備校本では担当者が問題ごとに異なるのか,解答例に当たり外れが多く存在します。

全ての問題を1人の講師が答案化した問題集は,本作と「司法試験論文過去問講座」(柴田)くらいじゃないですかね。これは旧司法試験の問題集ですが。

 

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私は答案例を軸に勉強していく型なので,答案例自体の信頼性は非常に重要視しています。

 

工藤北斗先生は新司法試験を39位で合格している超上位合格者なのでその点は担保がなされているといえます。

 

別売の論証集と完全リンク化

 

この問題集の他の優位性は別売の「合格論証集」と完全にリンクができていることです。

 

工藤北斗の合格論証集 刑法・刑事訴訟法 | 工藤 北斗 |本 | 通販 | Amazon

学部生にとって論証集は「趣旨規範ハンドブック」と並んで知識のインプットに欠かせない存在なので,論証のフルスケール版が参考にできる合格論証集とのリンクは助かりますね。

 ちなみに,本作では必要に応じて論証を短くしたりしています。これも実際の試験対策をする上での戦略では有効です。

 

20問で本当に大事な論点を網羅できる

 

後述しますが,本作は20問と収録問題数は非常に少ないですが,全ての問題が法律問題を解く上で必要な論点を網羅しています。これ以外は本作で出た論点を発展させたものが多いでしょう。

逆に,この20問のうち1つでも解けない問題があると,重大な欠陥があるといっても過言ではありません。

したがって,初学者にはもちろん,中上級者にとっても最低限の論点確認になるのでおすすめです。

 

本作唯一の欠点

 

これは問題集を開くとわかりますが,目次が目次の形をなしていないんですよね。

具体的には,

第1問

出題論点/問題処理のポイント/答案作成の過程/答案構成/工藤北斗の解答例/合格者の問題メモ/合格者の答案構成/合格者の解答例

第2問

出題論点/問題処理のポイント/答案作成の過程/答案構成/工藤北斗の解答例/合格者の問題メモ/合格者の答案構成/合格者の解答例.

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第20問

出題論点/問題処理のポイント/答案作成の過程/答案構成/工藤北斗の解答例/合格者の問題メモ/合格者の答案構成/合格者の解答例

 

といった感じで,論点検索が非常にやりにくいです。

おそらく,論点がわからない状態で解けるようになることを意識なされたのだと思いますが,巻頭には問題文のみのページがある以上,この配慮は必要ありませんでした。

なので,私は論点表を作って表表紙の裏に貼って検索性をあげています。

 

まとめ

以上,欠点もあげましたが,現状出ている問題集のうち,高速周回ができる問題集はこれ一択でしょう。

他にも周回するうえで考えられるのは論文試験対策問題集(赤本)ですが,問題が多いのがやはり高速周回するうえではネックとなります。

とりあえず,簡単な問題集はこれを選び,次は旧司法試験と潰していくのがベストでしょう。